大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)1851 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

検察官白石八郎の上告趣意は、末尾に添えた別紙記載のとおりであつて、論旨は、

訴因と罰条の変更を許した第一審の訴訟手続を公訴事実の同一性がないという理由

で違法と断定した原判決は、法令の解釈適用を誤つた違法があると主張するに止ま

るが、所論中に当裁判所の公訴事実の同一性に関する四つの判例を引用しているの

で刑訴法四〇五条二号にいわゆる「最高裁判所の判例と相反する判断」をしたこと

を主張するものと見て一応適法な上告の理由を備えたものとすることができる。と

ころで論旨は、窃盗と賍物牙保とがその日時、場所において近接し、対象となる財

物も同一である場合には、基本的事実関係は同一と解すべきものであるとして旧刑

訴法の適用される事件についての公訴事実の同一性に関する当裁判所の判例を挙示

し、原判決は、これら判例と相反する判断をしたものであると主張しているものの

ようである。論旨挙示の判例中昭和二五年(れ)第二七五号同年六月三〇日第二小

法廷判決は、原判決の宣告された後の判例であるから、これを除外し(なお右判決

も従来の判例を変更したものではない。)その他の判例に照して見ても、原判決は

窃盗と賍物牙保とは常に公訴事実の同一性がないとか或は犯罪の日時場所が隔つて

いる場合には公訴事実の同一性がないとか判断したのではなく、基本的事実関係が

同一でないから公訴事実の同一性がないと判断したに止まるのであるから、その理

論においてはこれらの判例と相反する判断をしたことにならないのである(昭和二

五年(あ)第八四号同年二月二一日第三小法廷判決参照)。又本件については、刑

訴法四一一条に該当する違法があるともいえない。

よつて刑訴法四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、当小法廷裁判官全員一致の意見である。

- 1 -

昭和二六年二月六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官穂積重遠は差支えのため署名押印することができない。

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!